平成19年度国立赤城青少年交流の家企画事業

青少年自立支援者のための研究協議会

〜 体験から学び主体的に人生を生きることをめざす支援 〜

  国立赤城青少年交流の家では,2月22日(金)〜24日(日)の2泊3日の日程で,「青少年自立支援者のための研究協議会」を開催しました。
  この事業は,サブタイトルを「体験から学び主体的に人生を生きることをめざす支援」として,生活体験・自然体験等をとおして,青少年の自立に取り組んでいる支援者及び自立支援に関心を有する人々を対象に,先進的な事例紹介及び協議,支援者としてのスキルアップ研修,課題解決に結びつく情報の提供等により,自立支援者の資質向上と支援者同士の交流を図ることをねらいとしたものです。
  参加者は,群馬県をはじめ関東各県や北海道・九州地区などから学生や社会人110名が集まりました。
2月22日(金)
  オープニングトーク 
  初日は,19:00から玉川大学の難波克己氏によるオープニングトークに始まった。
  参加者総数110名の内,およそ90名の方々が参加し,お互いに自己紹介や交流(アイスブレイク)を行ったり,この事業のねらいについて話を聞いたりした。 これから始まる,事業への期待感が一層高まった。

2月23日(土)
開会式
  主催側の国立赤城青少年交流の家所長と実行委員代表である佐々木豊志より,この事業開催へのいきさつやこれまでの取組について,熱き思いが述べられた。




分科会T
  午前の分科会では,「知的・発達障害」,「不登校・ひきこもり」,「非行・反社会行為」,「そもそも自立支援とはなにか」,「自然体験施設運営」の5つのテーマで協議が進められ,参加者自身の体験も話題に出るなど,広がりのある分科会となった。

@自閉症疑似体験,だからこその支援

A「不登校」や「ひきこもり」状態を考える

B反社会的行為の現状を分析し,
行為に及ばせない支援の方法を考える

C発達的視点からみた自立とは

D支援をする自然体験施設の運営を考える
基調講演
  株式会社モンベル代表取締役会長の辰野勇氏,元F1ドライバーの片山右京氏,社会福祉法人青葉仁会理事長の榊原典俊氏3名によるトーク型基調講演では,自然体験を通した学びの重要性と自立心を養うきっかけについて熱弁が繰り広げられた。

「アドベンチャーのなかで,その時その人は」

3人のゲストの体験談に引き込まれて
分科会U
  午後の分科会では,「動物介在活動」,「自然活動と発達支援」,「食育」,「アドベンチャー・カウンセリング」,「自然体験活動の効果測定・評価」,「発達障害」の6つの具体的事例紹介が展開された。

@馬の学校とイルカ介在活動

A何でもやってみるチャレンジ体験
自然体験活動から学ぶ障害(児)者の支援活動
カヌーをつうじて自立への取組


B心を育む食育の可能性

Cアドベンチャー・グループカウンセリング

D自然体験活動の効果測定・評価

E自閉症の身体的(感覚)の基礎知識と
自閉症児のスノーキャンプ
ナイトセッション
  メイン会場(講堂)での立食パーティーの和やかな雰囲気の中,団体紹介タイムが設けられ,ステージ上で様々な発表も行われた。
  参加者や講師,実行委員などが一堂に会し,楽しい情報交換のひとときとなった。


2月24日(日)


全 体 会
  はじめに,昨日の各分科会担当者より内容の報告がなされた。11の分科会一つ一つについて,3分程度にまとめられた内容の発表は,参加者にとって興味があった他の分科会の様子を知るのに役だった。
  さらに休憩を挟んで後半は,9つのテーマ別情報交流を行い,参加者は関心のあるテーマに分かれ,情報の共有化を図った。


★アドベンチャー・グループカウンセリング
(難波氏)


★自然学校
(佐々木氏)


★地域との連携
(穴澤氏)


★農と食
(木村氏)


★動物介在活動
(宮川氏)


★自閉症
(高橋氏)


★障害を持つ方を対象にしたアウトドアプログラム
(新堂氏)


★自立につながる支援の提供
(榊原氏)


★ネットワーキング
(西村氏)




ふりかえり・まとめ
  最後のプログラムとなった「ふりかえり・まとめ」は,全員参加型パネルディスカッションで締めくくった。進行を西村氏が,コーディネーターを佐々木氏が行い,パネリストとして参加者の中から4名が選出された。そして,フロアの参加者は,4〜5名の小グループをつくり,順次提示される4つの設問ついて自分の思いを記していった。
  設問の回答は,まず小グループ内で紹介しあい,次にフロアの参加者から発言,さらにパネリストから発言へと広げた。参加者は,本事業に参加した意義を再確認し,今後につなげることの大切さを感じ取っていた。


閉 会 式
  この日,昨晩から降り続けた大雪と強風のため,全国各地で交通網に被害が出ていた。全国からの参加者の帰宅が心配される中,プログラムを予定通りに終え,閉会式が始まった。実行委員代表の難波氏から,「『幸せになるための生き方=自立』ではないでしょうか。みなさん,人生を楽しみましょう。『知』を行動にしましょう!」といったメッセージがおくられた。また, 国立赤城青少年交流の家の事業推進課長より,今年度の開催を踏まえ,来年度もより一層充実した「青少年自立支援者のための研究協議会」の開催を約束する旨の挨拶があり,3日間の幕を閉じた。
  参加者からは,「この事業に参加して,内発的な動機づけを抱かせてあげられる支援とはどんなものかを知ることができました。」,「みんなが力をもらった。普段出会わない人が出会えたすばらしい場だった。」,「支援者としての姿勢・考え方,自立支援を必要とする人の視点や思考を学べました。」,「この事業が,『青少年自立支援者のための研究協議会』として定着し,発展していくことを期待しています。」といった感想が聞かれ,この事業を通して多くの人との関わりや学び・新しい発見が得られたことが伝わってきた。